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スリランカで出会ったパワフルな人々~緊急支援の現場から~
プログラム部
船越美奈
アジア
(更新)
アーユーボーワン!(シンハラ語で「こんにちは」)
プログラム部の船越です。
2017年7月、ジャパン・プラットフォームの助成を受けてスリランカに3週間出張してきました。目的は、5月24日(現地時間)から降り続いた豪雨により発生した、洪水や土砂崩れの被災者に対する緊急支援です。初めて訪れたスリランカは、治安もよく緑が多くて、ゆったりとした空気の流れる国でした。ここでは、今回出会った人々の中から、特に印象に残ったパワフルな3人をご紹介します。
緊急支援の専門家、メナカ(43歳)
プラン・インターナショナルに転職して2カ月で、今回の洪水・土砂災害に直面したメナカ。緊急支援を取り仕切り、政府や地元NGOとの調整など、毎日忙しく駆け回っています。
被災者に衛生用品を手渡すメナカ(左)
今回の災害は、スリランカにとって2004年の「スマトラ沖地震およびインド洋津波」以来の大規模災害となりました。当時心理社会的ケアの専門家として活動していたメナカは、この津波をきっかけに赤十字へ転職。被災者の心のケアに携わり、緊急支援専門家を目指すようになりました。以来13年間、政府の教育省やNGOで緊急支援や防災の仕事を続けて、2017年からプランで働き始めました。
「人生で大切なのは、健康、友人、そして家族。仕事は二の次だね」。そう語るメナカですが、今は週末も書類作成や電話対応など、仕事優先の日々を送っています。とにかく頼りになる人なので、誰もがまずはメナカに聞いてみようと彼のもとに集まります。そうした人たちの気持ち、私もよく分かりました…。
活動地域で、住民に寄り添うウィマール(42歳)
普段はスリランカ北部にあるプランの活動地域で働くウィマール。高校卒業後、プラン・スポンサーシップ業務のアシスタントとして2年間働いたあと、建設会社に就職しました。しかし、「やっぱりプランで働きたい!」との思いがつのり、13年前からスタッフの一員として働いています。
被災地に赴任したウィマール
今回の緊急支援の対象地域は、もともとプランの活動地域ではないため、ウィマールはここに約5カ月間1人で駐在して、現場対応を行なう予定です。4歳の子どもを故郷に残し単身赴任で働いているウィマール。今回の赴任に手をあげた理由を尋ねると、「困っている人を助けられるなら、どこにだって行くよ。もともとチャレンジは好きだしね」と、笑顔で答えました。
「蚊も殺さない」ウィマールは、物腰も柔らかく、いつもやさしい口調で話します。被災地の子どもたちと接するときも、子どもの目線に立ち、笑顔でゆっくりと語りかける姿が印象的でした。
子どもたちの心のケアセッションに参加した、エレシャさん(28歳)
今回の緊急支援では、被災直後の混乱時に高まる子どもたちへの虐待や搾取などの危険性について、子どもの保護や権利を伝えるとともに、子どもたちの受けたストレスを軽減するための心のケアセッションを実施しました。子どもとともに参加した親にとっても気づきや学びのあるものになりました。
小学3年生の母親、エレシャさん
小学校3年生の女の子がいるエレシャさんは、子どもたちをあらゆる暴力から守る「子どもの保護」について知り、自分自身の人生を振り返り心の奥底にあった疑問を解くことができました。
「今日のセッションに参加して、ようやく理解できたことがたくさんあります。私の母は、家事使用人として働くなか、妊娠し、私を出産直後に亡くなってしまいました。そのため、私は祖父母に育てられました。今でも父が誰かは知りません。子どものころから村の人に母のことを悪く言われ続けて、私はずっと苦しんできました。私は精神的な暴力を受け続け、適切な保護を受けられずにいたことに気づきました。自分の子ども、そして村の子どもたちみんなに、私のような嫌な思いはさせたくありません。これから、ほかの親たちと協力してチームをつくり、子どもの保護に向けた活動を始めたいと思います」
心のケアセッションに参加した先生たちも、子どもの保護や権利について学ぶ「子どもクラブを作る」と宣言するなど、セッション参加者が次の行動を計画し始めたことに、強く感銘を受けました。
日本からの支援で学用品を受け取った子どもたち
心のケアセッションに参加した子どもたち
世界中で災害が続く昨今ですが、今回出会った3人のように心温かく行動力あふれる人々がいる限り、支え合って生きていく前向きな未来を信じることができます。
私も引き続き、緊急支援に取り組んでいきたいと思います。
関連リンク
- ※2019年12月にスリランカでの活動は終了しました。チャイルドをご紹介できる国は、活動国にてご確認ください。
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