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ガザ人道危機発生から1カ月~迅速、かつ無条件の停戦を~
医師/プランの国際人道支援ディレクター
ウニ・クリシュナン
アフリカ・中東
(更新)
紛争を始めるのは子どもたちではないのに、最大の犠牲を負うのは子どもたち。それが、紛争が示す残酷な皮肉です。戦略を練る政治家や軍人、武装グループたちには子どもの存在が見えていないなか、子どもたちは言いようのない苦しみに耐えているのです。
ガザ地区から避難する女の子(copyright: REUTERS / Ibraheem Abu Mustafa)
世界中で繰り広げられている紛争により、大勢の子どもたちが命を落としたり手足を失ったりしています。また、紛争下では、子どもに対する虐待や脅迫、勧誘が頻発しています。子どもたち一人ひとりには名前があり、遊び仲間がいて、彼らを愛する親がいます。 どんな子どもも紛争の一部となってはならないのです。
私には、人道支援活動をするなかで出会った、忘れられない子どもたちがいます。
20年前、バグダッドの病院で出会った10歳のラミアさんは、ミサイル攻撃の悪夢にうなされていました。アフガニスタン出身のサッカー好きの14歳の男の子、マンズールさんは、地雷で足を失いプレーをすることができなくなってしまいました。マンズールさんの母親は、戦争はスローモーションの葬式だと嘆きました。
幼い心や身体が耐えられる苦しみには限界があります。それにも関わらず、紛争下では保育器に入れられた新生児の頭上をミサイルが飛び交い、負傷し手足を失った子どもたちの姿が日常の風景の一部となってしまいます。子どもたちが描いていた夢は消え去り、悪夢と苦しみだけが永遠に残るのです。若者たち、なかでも女の子や若い女性たちがより多くの苦しみを味わうことになります。
被災した建物の瓦礫から所持品を引き揚げる男の子(copyright: Anas-Mohammed / Shutterstock.com)
ガザ地区の紛争では、わずか4週間※1で
3900人以上※2の子どもたちが犠牲になりました。
国連によると、ガザ地区ではさらに1250人※3の子どもたちが行方不明になっており、そのほとんどは瓦礫の下敷きになっていると推測されています。
ガザ地区は何千人もの「子どもたちの墓場」になりつつあるのです。
- ※1 Gaza becomes ‘a graveyard for children’ as Israel intensifies airstrikes
- ※2 、※3 Hostilities in the Gaza Strip and Israel | Flash Update #29,(OCHA)
10月7日に発生したイスラエルへの攻撃では、パレスチナの武装グループが30人の子どもを殺害し
※4、37人の子どもを人質にしました
※5。幼い人質が経験する苦しみには、筆舌に尽くしがたいものがあります。子どもたちの緊急かつ無条件の解放、そしてイスラエル軍に拘束されている500人から1000人※6の子どもたち
の解放にも優先的に取り組むべきです。すべての子どもは平等なのですから。
私たちは、増え続ける子どもの犠牲を人類への警鐘として捉えるべきです。国連が紛争下での子どもに対する重大な権利侵害と認める6つの行為、「子どもの殺害及び傷害行為」、「武装勢力への子どもの徴兵と利用」、「子どもの拉致及び誘拐」、「子どもに対する強姦、及びその他の性的暴力」、「学校や病院への攻撃や脅迫」、「子どものための人道的アクセスの妨害や拒否」はすべて阻止されなければなりません。また、いかなる紛争においても、すべての当事者は国際人道法を尊重しなければなりません。
紛争は人々の生活や日常の風景を一変させ、保育園や近隣を戦場や墓地に変えてしまいます。国連によれば、イスラエルの軍事作戦により、子どもたちや家族が避難しているガザ地区の学校258棟の校舎が被害を受けたそうです
※7。このことは、子どもたちの教育と未来に壊滅的な影響を与えることになるでしょう。
2009年のガザ紛争時、私がガザ地区を訪ねた際に出会った12歳のオムシヤットさんは、人懐っこい笑顔を浮かべながら「どうして子どもたちは戦争に苦しまなければならないの?」と質問してきました。
当時、焼け焦げた学校の瓦礫のなかから、焼けた本やクレヨンで描いた平和のポスターを拾い上げるオムシヤットさんや友人たちの姿には、一抹の希望が感じられたものです。別の女の子は、自身が描いた色彩豊かなポスターを見つけると、「爆弾でポスターの一部が焼けてしまったのは悲しいけれど、ポスターを取り戻すことができてうれしい」と、顔をほころばせながら語りました。
紛争を終わらせるための一歩は、子どもたち、そしてそこに暮らす人々に思いを寄せ、停戦や平和、正義について有意義に話し合うことから始まります。紛争を止めることは、子どもたちが殺害されたり、脱水症状や不十分な医療ケアで命を落とすことがなくなったりすることを意味します。負傷し家を失った子どもたちに、清潔な水、食料、命を救うための人道支援、心のケアを提供することができ、すべての子どもたちの尊厳を取り戻すことができるのです。ガザ地区とイスラエルにおいて迅速かつ無条件に紛争を終わらせることこそが、人々や子どもたちの未来につながる唯一のチャンスなのです。
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