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セクハラに立ちむかう男の子たち~エジプト~

世界の各地から

女の子だから

更新)

プラン・インターナショナルは、女の子たちにとって安全で包摂的な都市づくりをすすめることを目標に、2012年「Because I am a Girl都市プログラム」のリサーチを開始しました。世界5都市(エジプトの首都カイロ、インドの首都デリー、ベトナムの首都ハノイ、ウガンダの首都カンパラ、ペルーの首都リマ)で国連ハビタットなどと協働してきました。この結果をもとに、各都市で女の子にとっての「安全なまちづくり」プロジェクトが行われています。

エジプトの首都、カイロでは、スラムに住む多くの女の子たちが地域社会から性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント、以下セクハラ)を受けている現状を受け、セクハラをなくすための取り組みがすすんでいます。2回目は、男の子たちの取り組みをご紹介します。

写真:道端で遊ぶ男の子たち

道端で遊ぶ男の子たち

男の子の参加が不可欠

エジプトでは多くの女の子や女性がセクハラを受けています。さらに深刻なのは被害者である女の子たちが非難を受けていることです。セクハラを受けるのは、女の子たちの身なりや行動のせいだと考えられているためです。

このプロジェクトには、男の子と男性の参加が不可欠です。2015年から実施している「安全なまちづくり」プロジェクトでは、男女が互いに敬意を払い、健全な人間関係を築けるよう、約400人の男の子と男性と取り組んできました。

男の子クラブに参加し活動している3人の男の子が、自分たちのコミュニティでおきているセクハラについて、それぞれの考えを述べてくれました。

アーメドさん、17歳 父親が経営する雑貨店で働く

写真:アーメドさん、17歳

「以前は、女の子たちにセクハラ行為をしていました。恥ずかしいことだとも思っていませんでした。ここでは、通りすがりの女の子たちに対して口笛を吹いたり、からかいの言葉を投げかけたり、女の子たちの体を触ったりするのは、男性たちの間ではあたりまえのことで、恥ずべきことではないのです。彼女たちがひとりで外出し、頭をかぶりもので隠していないときには、女の子や女性はセクハラをされても仕方ないとさえ思っているのです」

「でも、もう二度と女の子たちにセクハラをしないつもりです。『安全なまちづくり』プロジェクトに参加して、これまでの態度を改めるようになる重要な経験しました。今では、彼女たちを自分の姉妹のように対応します。もし、誰かが女の子にセクハラをしていたら、僕はその子を守ります」

「男女一緒のスポーツ・デーで、男女混合チームでサッカーをしました。女の子たちにサッカーができるなんて想像したこともありませんでした。そのうえ、試合中に男の子たちよりも上手にプレイする女の子たちがいることも知りました。その日に、僕の女の子たちへの認識は変わりはじめたのです。女の子たちは多くの可能性をもっているとわかったのです」

アーメドさんが参加している男の子クラブでは、毎週エジプト各地に残る有害なジェンダー規範に取り組んでいます。なぜ男の子と男性が、女の子たちにセクハラや失礼な態度をとるのか、スポーツや芸術を用いて男の子たちが率直な気持ちを話せるような環境づくりをしています。

モハメドさん、16歳 姉妹に保守的だった男の子

写真:モハメドさん、16歳

「カイロの男の子たちは概して女の子たちにひどい扱いをしています。自分の姉妹がひとりで学校に行ったり外出したりするのを許さないし、意見を言うことさえ許さないのです」。
プロジェクトに参加する前は、モハメドさんもそのような男の子の一人でした。
「僕も以前は、姉妹が外出すれば父に言いつけて叩いてもらっていました。姉妹が両親との会話に加わるのを止めていたし、小学校から帰宅したら家にいるべきだと姉妹に言っていました。そして、女の子たちと過ごす一切の時間を避けていたものでした」。

「『安全なまちづくり』プロジェクトに参加し、女の子たちと一緒に遠足やスポーツ大会に参加して変わりました。プロジェクトでは、女の子たちが自分の意見を言う権利や、僕と同じようにさまざまな活動に参加する権利があることを学びました。女の子たちは教育を受け、そして通りを安全に歩く権利があるのです」。
今やモハメドさんは、プロジェクトに参加していない男の子たちや男性たちの女の子や女性たちへの態度に怒りを感じています。
「明らかに僕の住むコミュニティでは、女の子たちに対する差別があります。男の子たちは何でも思い通りにしていい。外出できるし、好きなだけ長く学校にいける。女の子たちよりも自由な部分が多い。女の子たちは家の中に閉じ込められて、早い時期に学校を止めさせられる。いつの日か女の子たちが社会において十分な役割を果たせるようになるといいと思っています」

ハッサンさん、14歳 男子校に通い、プロジェクトに参加して6カ月

写真:ハッサンさん、14歳

「通りを歩いていると嫌だなと感じることがよくあります。なぜって、男の子たちや男性たちが女の子たちにセクハラをしているのを目にするからです」

ハッサンさんも、はじめからそのように感じていたわけではありません。
「『安全なまちづくり』プロジェクトに参加する以前は、女の子たちは劣っているもので僕の方が優れていると思っていました」。

プロジェクトの一環で、毎週の男の子クラブに参加し、女の子クラブのメンバーたちと交流する機会があります。ハッサンさんは男子校に通っているので、家族以外で女の子と過ごすのはこのときに限られます。
「活動には演劇も含まれています。僕たちは娘よりも息子の方が好きな母親の劇をしました。また、女の子たちと一緒にサッカーをしたり、自分たちのコミュニティの危険について討論をしたりします。女の子たちが、僕たちは彼女たちにセクハラをすべきではないと気づかせてくれました」

今は、何人もの女の子を友だちにもつハッサンさんは、カイロの女の子たちが男の子たちとあまりに違う扱いを受けていることを大変不公平だと思っています。

「親たちは息子たちが夜遅くに、たとえ午前1時でも外出するのを許可するのに、娘たちが外出するのは決して許さないのです。家族は男の子たちには公園へ行って遊ぶように言うのに、女の子たちは家で静かにしていなければならないのです」。
ハッサンさんには5歳の妹がいます。妹が成長したときにセクハラのない生活を送れるよう強く望んでいます。
「妹やその友だちが大きくなったとき、外出したり歩き回ったりしても安全な社会になっていてほしいです」

子どもたちの成長と変化

「安全なまちづくり」プロジェクトでは、男の子たちが自分の親と話し合うことにも取り組み、互いに理解し合えるよう助けています。

八百屋を経営しているアーメドさんの父ヨウスリィさんは、「安全なまちづくり」プロジェクトが2015年にはじまって以来、男の子たちの変化を見てきました。「無知だった男の子たちが、女の子たちも自分たちと同じ権利をもち、互いに敬意をはらう相手であることを知るようになったのです」

写真:アーメドさんの父ヨウスリィ

ハッサンさんの母マーワさんも、息子がプロジェクトに参加して以来、大きく変わったことに気づいています。
「プロジェクトに参加してすぐに、息子がセクハラを受けている女の子たちのために立ち上がっているのを目にしました。息子はセクハラをしている男の子にそれを止めるよう言いました。私は息子をとても誇らしく思いました。『安全なまちづくり』プロジェクトでは、子どもたちにセクハラは間違っていることを教えることにより、よいことをしようとしているのです。プロジェクトは、私たちのコミュニティからセクハラをなくす新しい世代を創造しているのです」

写真:ハッサンさんの母マーワさん

男女で変えていくコミュニティ

写真:エジプトのプラン職員

エジプトのプラン職員

「男の子たちが手本となり、女の子と女性のサポーターとして関わることは大変重要です」と、プランのエジプトのプログラム・マネジャーのイブラヒムは説明します。
「プロジェクトに参加している男の子たちは、ほかの男の子たちに、彼らの女の子たちへのセクハラが彼女たちを傷つけていることを伝えていく役割をはたしています。男の子たちは、セクハラが虐待のひとつのかたちであるとは思っていないのです。『安全なまちづくり』プロジェクトでは、セクハラが原因で起こる悪影響、たとえば、女の子たちがセクハラのために学校へいくのを断念させられていることを、男の子たちが理解できるよう支援しています」

少しずつ地域の状況は変わってきています。もし彼らのような男の子たちが増えていけば、女の子たちはセクハラのない未来を手に入れられるでしょう。プランは引き続き男の子や男性と協力し、次世代につながる安全な環境造りのプロジェクトに取り組んでいきます。

プランは2018年秋に、世界の25都市の女性や子どもの権利、都市の安全などの専門家に行った、安全についての意識調査の結果を発表する予定です。その発表にあわせて日本のプランのユースが独自に、東京の安全についての意識調査を行っています。調査結果はウェブサイトで報告していきます。

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