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ウクライナ避難民の女の子・女性たちの日本での生活状況~ウクライナ出身の職員が調査~
お知らせ
(更新)
2022年2月24日のウクライナ紛争激化から1年半が経過しました。依然としてウクライナでは数百万人の人々が国内外への避難を強いられています。日本にも、約2000人のウクライナ避難民が暮らしています(2023年8月現在)。
アンナ・シャルホロドウスカー職員
現在プラン・インターナショナルに勤務しているアンナ・シャルホロドウスカー職員も、紛争が激しさを増すなか、2022年5月に日本へ逃れてきた当事者の1人です。
このほどシャルホロドウスカー職員が日本におけるウクライナ避難民の生活状況を把握するための調査を行い、レポートにまとめました。対象は、24歳未満の女の子と、子どものいる女性たちです。アンケート調査とインタビューの概要をご紹介します。
「ウクライナ避難民の日本での生活状況に関する調査」
この調査は、2023年4月~6月に、日本に暮らす24歳未満のウクライナ人女の子14人と、子どもを持つ女性17人の合計31人を対象に、アンケートとインタビュー形式で実施したものです。
調査結果から見えてきたこと
回答者のほぼ9割が日本での生活に概ね満足していると答える一方で、言葉の壁や仕事探し、医療上の問題を課題としてあげました。また、子どもを持つ女性たちは、子どもを日本の学校に通わせる場合の日本語習得や交通費節約のための外出控えなどの問題をあげています。紛争収束後に自国に戻る可能性を見越し、日本でウクライナの学校教育を継続する際に直面する時差や学習の到達度について懸念していることも明らかになりました。
24歳未満の女の子14人を対象にしたアンケート結果
日常生活上の問題(71.4%)と言葉の問題(64.3%)が最多。その他にも、言語学習、仕事探し、書類手続きや医療の難しさなどが挙げられました。
支出で最も多いのは食費(57%)です。また、交通費や生活必需品(約30%)も大きな負担となっています。
子どもを持つ女性17人へのアンケート結果
約60%の子どもは、学校で勉強するために必要な学用品や教材などを所有していましたが、約17%が、避難して日が浅いために教材など購入できていなかったり、経済的理由で、備品や教材などを持っていないことが分かりました。
ウクライナへの帰国を予定しているか、まだ帰国について明確に決めていないものの、オンライン学習を継続している子どもは約65%に上りました。
約半数の53%の子どもたちが地元にある日本の学校で学んでいるものの、日本語で勉強することは非常に難しく、カリキュラム通りに学習することは困難と考える割合は67%に上ります。また、約42%が学校の言語サポート不足を指摘しており、多くの子どもたちが孤立を感じています。
6人に対するインタビュー
6人の避難民(24歳未満の女の子2名、持病のある女性1名、子どものいる女性3名)に、日本での生活、困難、心配事、勉強、将来の計画などについてインタビューを行いました。全員が日本政府による支援を受けており、避難生活は困難もなく快適に過ごしていると話しました。一方で、各々の言葉からは、各人が直面している困難や課題、祖国への思いが浮き彫りに。「避難民」と一括りにされがちな女性たち一人ひとりが置かれた状況がつぶさに語られています。
調査を担当したアンナ・シャルホロドウスカー職員のメッセージ
ウクライナ避難民は似通った困難(家庭の問題、書類手続きの困難、医療問題など)を経験しており、そのほとんどは日本語の知識不足から生じていることが判明しました。日本とウクライナの制度の違い(雇用制度、医療制度、教育制度、追加教室など)も大きく影響しています。
調査では、彼女たちが描く今後の抱負や計画、それを実現する際の障壁も明らかになりました。また、教育状況からは、子どもに快適で質の高い教育を提供する必要性が示されました。私は、多くのウクライナの子どもたちが日本に溶け込み学校に通っていることに感銘を受けました。教育は、将来自己実現のための新たな機会を得るうえで非常に重要です。
私が行った調査やインタビューは対象とした人数が限られていたため、完璧な情報を提供するものではないかもしれませんが、この調査が、日本に避難しているウクライナ人の生活や懸念、経験を浮き彫りにし、彼女ら・彼らを支援するために何が必要であるかを考えるきっかけになれば幸いです。
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プラン・インターナショナルは、紛争のためウクライナからモルドバ、ポーランド、ルーマニアに逃れた、あるいは現在もウクライナにいる200人以上の若者たちが参加する青少年協議を2023年4月~5月に開催。ウクライナの復興と復旧について交わされた若者たちの意見をポリシーペーパーにまとめました。本書では、ウクライナの未来に向けた新しいアイデア、革新的な思考、説明責任を果たしつつ自国の復興と再建に積極的に関わりたいと表明した若者たちの声を紹介しています。
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