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自立に向けてスキルを身につける女の子たち~カンボジア~
カンボジア
(更新)
カンボジアで実施している「女の子の自立を助ける職業訓練プロジェクト」は、「男性は収入を得る人」、「女性は家庭を守る人」という性別役割の意識が根強く男の子の教育が優先される傾向のある農村部の女の子を対象に、シエムリアップ活動地域、カンポンチャム活動地域、ラタナキリ活動地域の3カ所で活動を進めています。女の子たちが職業訓練を通じて安定した職を手に入れ、経済力を身につけることを目標とするプロジェクトについて、今回はシエムリアップ市にある公立職業訓練校での活動の様子をご報告します。
電気工コースの女の子は2人だけ
プロジェクトでは、女の子65人が3つの訓練コースで学んでいます。それぞれのコースの人数は料理コース50人、接客コース13人、そして電気工コースが2人です。
電気工コースでは訓練生のなかで女の子は2人だけです。オンニさん(19歳)はシエムリアップ市から数十キロ離れたバンテアイスレイ郡の出身です。中学校12年生の修了試験に合格することができず、失意のうちに村で過ごしていたところ、このプロジェクトを知って参加しました。村でのニーズが高いと感じ、電気工コースを選びました。「私は他の訓練生よりも覚えるのが遅い時があります。でもわからない時は先生に何度も質問します。先生も他の研修生の男の子も私を助けてくれます」。もう1人の女の子、バヤンさん(20歳)も同じくバンテアイスレイ郡の出身です。「料理などはすでにたくさんの女の子が学んでいるし、私は他のことがしたかったのです。それに電気工はどこでも、必要とされる職業です。いずれ仕事を得たらお金をためてもっと勉強するために大学に行きたいです」。
担当教師は、「力が必要な実習のときには、少し男の子よりも大変な時がありますが、それ以外に男女の違いはありません。みんなそれぞれがんばっています」と話しました。
オンニさん(写真中央)。クラスメートと相談しながら課題を完成させます
バヤンさん(写真中央)。グループの誰よりも率先して作業にとりくんでいます
ホテルのシェフが教える料理
料理コースでは、スレイスナム郡、アンコールトム郡、アンコールチョム郡、バンテアイスレイ郡の4つの農村地域から50人の女の子が学んでいます。最年少の生徒は15歳です。先生は夫婦でシエムリアップの一流ホテルのシェフとして働いていますが、プロジェクトのために特別のお願いをして担当教師として教えてもらうことになりました。
観光客が大勢訪れるシエムリアップのホテルの厨房やレストランで働くことを想定し、料理は観光客に人気の高い地元のクメール料理と西欧料理を中心に学びます。ある日学んだ献立は「カンボジアチャーハン」「グリーンケーキ」「カンボジアチキンカレー」「挽き肉サラダ」の4品。約2時間で完成させました。「盛りつけ」「味」「量」の3つにおいて配慮が必要とされます。
みんなで協力しながら作業をすすめます
盛りつけも美しく完成です
公立職業訓練校での暮らし
シエムリアップ市から遠く離れた農村出身の女の子たちは寮で生活しています。個室ではなく、2段ベッドがぎっしり入った一つの部屋で大勢が暮らしています。授業が終わると図書室で勉強したり、自分の部屋に戻って昼寝をしたり、自分の時間を過ごすことができます。しかし、週末には自分の村に帰って、親の手伝いをします。特に米の収穫シーズンなど農作業の繁忙期には、女の子たちは重要な家族の労働力として両親の手伝いをするのが当然と考えられています。
危険な出稼ぎをなくしたい
シエムリアップ事務所でプロジェクトを担当するソファット・ヘン職員はこう言います。「貧しい農村からタイに出稼ぎに行く若い人たちが後を絶ちません。しかし、不法就労なので例え雇用主から虐待をうけても警察に相談することもできず、とても危険な状況に置かれます。カンボジアの若者たちが、家族と遠く離れずに、自分の村、自分の国で働けるようにしたい。そのためには何よりスキルが必要です。このプロジェクトを応援してくださる日本の皆さまにぜひこれからも末永い支援をお願いしたいと思います」
今後も、プロジェクトでは、女の子の訓練や就職支援などを続けていきます。