【活動国詳細】カンボジア
カンボジアは近年目覚しい経済成長を遂げている国の一つです。1994年に45%であったカンボジアの貧困率は、経済発展が著しい都市部において大幅な改善がみられます。都市部と農村部の経済格差が広がる中、多くの貧困層が農村部で暮らしており、発展から取り残されています。また、5歳未満の子どもの死亡率や栄養不良の割合が依然として高いことも課題の一つです。
「教師になって、両親を助けたいです」
カンボジアでの活動
【活動国データ】
国が抱える問題
- 栄養価の高い食料の確保が難しく、保護者の乳幼児保育に関する知識が不足していることにより、子どもと母親の栄養不良がみられ、それが乳幼児死亡の要因となっていること。
- 病気による欠席、教師による虐待・体罰、学校内暴力などの影響を受け、小学校の中途退学者が多く、さらに中学校への就学率が低いこと。
- 貧困世帯が多い農村部では、トイレの設置が行き渡らず屋外排泄が行われており、安全な水の利用が難しく、家庭での衛生状況が改善されていないこと。また、学校や地域においても、水と衛生の設備が不足しており、衛生習慣が身についていないこと。
- 子どもに身体的・精神的な暴力をふるう両親や親族が多く、地域では障がいのある子どもや孤児など弱い立場にある子どもたちに対する差別がある一方、行政および地域レベルでの子どもの保護に関する制度や仕組みが不足していること。
- 性と生殖に関する健康についての知識・理解が不足しているため、女の子の早すぎる妊娠が増加しており、とくに貧困層の多い地域では、思春期の女の子の栄養不良が深刻な状態であること。
プログラム別活動概要
1.乳幼児保育の促進
コミュニティ運営による幼稚園の教師の能力開発、保護者の乳幼児保育への理解促進と親業教育、障がいのある子どもたちに対する支援、衛生施設が整った災害に強い保育園づくりなどにより、子どもの栄養・衛生状況の改善と、質の高い乳幼児保育の実現を目指します。また、保護者グループの形成・運営サポート、地域リーダーや行政との連携強化を図ります。
2.子どもの保護の推進
子どもたちが自力で暴力から身を守り、とくに女の子に対する暴力を予防し差別をなくすよう、子どもクラブや子どもの保護ネットワークなど、子ども主導による組織に対してトレーニングや支援を行います。また、保護者やコミュニティの能力強化を図り、活動地域での子どもの保護の取り組みを推進し、行政に対しては、子どもの保護の制度作りにむけて連携・協力します。
3.水と衛生状況の改善
コミュニティ主導型総合衛生管理を導入し、家庭や学校における衛生的習慣の定着化や、地域住民による給水設備の維持・管理を含む水と衛生状況の改善に注力します。とくに女の子や女性に対しては、月経時の衛生管理改善を支援します。また、安全な水や衛生施設の整備のため、行政への技術支援を行います。
4.子どもの栄養改善と若者の健康促進
保護者や地域の保健支援グループに対して、子どもの栄養状態の把握と改善に関する能力強化を図ります。また、若者、とくに女の子に対して、若者の栄養不良と栄養価の高い食事に関する知識、早すぎる妊娠に伴う健康上のリスク、早すぎる結婚・妊娠の防止策などの指導を行います。
5.すべての子どもたちに対する教育の質の向上
すべての子どもたちが、学齢期に小学校へ入学し、中途退学せず学び続け、卒業後は中学校や職業訓練校にすすむことを目指します。そのために、教師の育成、現地語に配慮した授業の実施、障がいのある子どもへの学習支援、学校給食の導入、社会的に弱い立場にある子どもへの奨学金支給などに力を注ぎます。
基本データ
首都 | プノンペン |
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面積 | 18万1000km2(日本の約2分の1弱) |
人口 | 1470万人(2013年政府統計) |
言語 | カンボジア語 |
宗教 | 仏教(一部少数民族はイスラム教) |
※出典:外務省ウェブサイト
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プラン・インターナショナルのデータ
活動開始年 | 2002年 |
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チャイルド数 | 25485人 |
日本のスポンサーを持つチャイルド数 | 1106人 |
昨年度プランが活動を行ったコミュニティの数 | 1975 |
現地事務所 | 統括事務所: プノンペン # 6080(781)シェムリアップ # 5070(782)トボンクモム # 6100(852)ラタナキリ # 6120 ストゥントレン |
※2018年1月現在
統計情報
カンボジア | 日本 | コメント | |
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5歳未満児死亡率(1000人当たり) | 31 | 3 | 日本の約10倍の子どもたちが5歳未満で命を落とす |
5歳未満児死亡率の順位 | 68 | 179 | |
安全な水を利用できる比率(%) | 75 | 99 | 農村部では70% |
衛生施設を利用できる比率(%) | 49 | 100 | 約5割が衛生施設を利用できない |
初等学校の最終学年まで在学する率(%) | 48 | 100 | 中等学校就学率は平均47% |
成人識字率(%) | 74 | ― | 成人の約3割が読み書きができない |
国際貧困ライン1日1.90米ドル未満で暮らす人の比率(%) | 2 | ― | |
出生時の平均余命(年) | 69 | 84 |
※出典:ユニセフ世界子供白書2017より