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男女差別とは?世界で起きている問題や具体的な解決への取り組み
「女だから家事育児をするのは当たり前」「男だから泣いてはいけない」。家庭や学校、職場でこのような発言に接したことがある人も多いのではないでしょうか。性別を理由とした偏見や思い込みは、日本だけでなく世界のさまざまな国や地域に存在し、男女間の差別やジェンダー不平等につながっています。
世界の男女差別の現状や、差別をなくすための取り組みを知り、誰もが生きやすい社会の実現にむけて必要なことは何かを考えていきましょう。
もくじ
男女差別とは?
そもそも男女差別とはどのようなことを言うのでしょうか。男女差別の定義や、それが生みだす男女格差の現状について解説します。
男女差別とはどういう状態を指すのか
男女差別とは、「男性または女性であることを理由に不当な扱いや差別を受けること」を言います。これは生物学的な性別ではなく、社会的な性別(ジェンダー)の違いによる差別を差します。男女平等が叫ばれて久しいですが、男女の教育格差や仕事における賃金格差、雇用機会の不均等、性別に基づく偏った固定的な役割分担など、依然として世界のさまざまな国や地域で男女差別を背景とする問題が根強く残っています。
男女差別の程度を知る方法はあるの?
世界各国の男女差別の現状は、「ジェンダー・ギャップ指数」という男女格差を示す数値から推測することができます。「ジェンダー・ギャップ指数」は、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が毎年発表する指標で、「経済」「教育」「保健」「政治」の分野ごとの男女格差を数値化したものです。完全な男女平等を「1」とし、「0」に近づくほど不平等な状況を示しています※。
Global Gender Gap Report 2023
「ジェンダー平等」は重要な国際課題のひとつ
ジェンダー平等の達成は、SDGs(持続可能な開発目標)の目標5にも掲げられている重要な国際課題のひとつです。2023年のジェンダー平等の達成率を地域別に見ると、中東・北アフリカの達成率は62.6%で、2022年に最下位だった南アジア(63.4%)を下回り、男女格差が最も大きい地域となっています※。
そのため、この地域での女性差別の撤廃は大きな課題です。特に「経済」分野の達成率は44.0%と非常に低く、労働者に女性が占める割合の低さや、賃金格差などが影響していると推測されます。
日本のジェンダー平等達成率は先進国のなかで最下位
WEFの報告によると、2023年の日本のジェンダー平等達成率は64.7%。146カ国のうち125位と過去最低の順位で、主要先進国(G7)のなかでは最下位に位置しています。「政治」と「経済」の分野での格差解消が進んでいません。男女雇用機会均等法が制定されてから30年以上が経ちますが、女性管理職の割合は依然低いままです。2022年(令和4年)7月には、「女性活躍推進法」という法律の改正に基づき、「男女賃金格差の開示義務化」が従業員数301人以上の企業を対象に義務づけられるなど、雇用環境における状況改善にむけた取り組みも進められています。しかし完全な男女格差解消にはまだ道半ばです。
世界の男女差別による問題の例
社会的背景によって生まれる男女差別の問題にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは3つの問題、「早すぎる結婚」「性的虐待」「教育格差」を取り上げ、解説します。
早期結婚・児童婚
早期結婚は「早すぎる結婚・児童婚」とも言われ、18歳未満の子どもの結婚、または同意なしに結婚を強制されることを指します。特に女性の社会的地位が低い国や地域では根深い児童婚の慣習により、多くの女の子が中途退学を強いられ、将来の自立にむけた学びの機会を失っています。さらに、未発達な身体での早すぎる妊娠・出産により合併症を患ったり、最悪の場合は命を落としたりすることもあります。
11歳で児童婚を強制され3人の子どもを出産した15歳の女の子(ニジェール)
2023年時点で、推定6億4000万人の女性と女の子が18歳の誕生日を迎える前に結婚しています。最も児童婚の割合が高いのは南アジアで、全体の45%を占める約2億9000万人の女性・女の子が早すぎる結婚を強いられています※。
性的虐待・性的暴力
WHO(世界保健機関)が2021年に発表したレポートによると、世界では女性の3人に1人が身体的・性的な暴力を受けた経験があることが明らかになっています。これは世界で7億3600万人の女性に相当します。思春期の女の子は成人女性よりもリスクが高く、15歳から19歳までの間に、すでに4人に1人がパートナーからの身体的・心理的・性的暴力の被害を受けています。背景には、男性優位の考え方や、「家族やパートナーは男性の所有物だから暴力を振るってもよい」といった誤った思考があることが原因と考えられます。
また、性的虐待や性的暴力の被害は女性に限ったことではありません。男性の被害者はなかなか声を上げられない、誰にも相談できないといった悩みを抱える場合も多く、実態が数字には表れにくくなっていることが指摘されています。
教育格差
特に途上国では、女の子は男の子よりも学校へ行くことが難しい現状があります。主に次のような理由が挙げられます。
- 貧困により男の子の勉強を優先させ、女の子は家事労働を強いられている
- 早すぎる結婚(児童婚)を強いられ、家事や育児で学校へ行かせてもらえない
- 女子トイレや生理用品の不足により、学校へ行っても安心して勉強ができない
- 女性の教員が不足しており、女の子が直面する課題への理解者が少なく差別を受けることもある
家事に追われ学校に通えない女の子たち(南スーダン)
男女差別の問題におけるプラン・インターナショナルの取り組み
男女差別をなくしていくためには、ジェンダー平等を促進していくことが大切です。具体的な取り組みについて、プラン・インターナショナルの活動を例にご紹介します。
「学校でのジェンダー平等促進」プロジェクト
ラオス北部で2016年から2019年までの3年間、学校におけるジェンダー平等促進を目指し、教師、生徒、保護者への啓発活動、トレーニングなどを実施しました。ラオス北部の対象地域では男の子を優遇する風潮が強く、女の子の教育が軽視されがちで、学校では日常的に女の子に対するからかいやセクシュアル・ハラスメントが横行していたためです。プロジェクトの実施により、男の子の態度が変わり、自分たちの行動がジェンダーに基づく暴力であると気づくことができました。また、女の子や男の子、それ以外のジェンダーの生徒たちも含め、お互いの尊厳を尊重する意識が芽生えました。プロジェクト終了後に実施したアンケートでは、生徒の87%、教師の100%が、学校でジェンダー平等に関する何らかのポジティブな変化が起きたと回答しています。
紙芝居を用いてジェンダー平等の啓発活動を行う生徒たち
「暴力の被害にあった女の子を守る」プロジェクト
インドでは、ジェンダーに基づく暴力の被害を受けた女の子や女性を、司法と心のケアの両面から支援しています。被害に遭った女の子たちが適切な裁判を受け、心身の健康を回復して社会に復帰し、自らの権利を実現し潜在能力を発揮できる人生を歩めるようになることを後押ししています。
具体的な取り組み
- 心理カウンセリング
- 意識啓発・予防キャンペーン
- 司法機関や警察関係者の能力強化支援など
インドではレイプ、性的虐待、ドメスティック・バイオレンス(DV)などのジェンダーに基づく暴力が多発しています。しかし、被害にあった女の子自身に非があるかのように不当な差別やさらなる暴力を受けたり、警察や病院においてさえも人権を軽視した扱いを受けたりするなど、状況は深刻です。プラン・インターナショナルは、地域の人々にジェンダーに基づく暴力のへ弊害を伝え、ジェンダー平等への理解を深めてもらえるよう啓発活動にも力を入れています。
地元の「子どもの保護委員会」にもトレーニングを実施
男女差別をなくすために私たちにできることは?
男女差別をなくしていくためには、国や地域、企業や学校など、社会のさまざまなレベルでジェンダー平等を促進していくことが重要ですが、私たち個人にもできることはあるのでしょうか。
1.男女差別やジェンダー不平等が生まれる原因についてさらに調べてみる
男女差別が生まれる背景には、社会に根強く存在する性別に基づく誤った思い込みや固定観念、偏見があると言われています。プラン・インターナショナルが日本の高校生2000人を対象に実施した調査では、10人中7人が特に学校でジェンダーに基づく差別的な発言を見聞きした経験があることが分かりました。
「女の子」という言葉から思い浮かぶ言葉
「男の子」という言葉から思い浮かぶ言葉
調査レポートの要約をみる
2.ジェンダー平等に取り組む団体の活動を支援する
男女差別をなくすために何か行動を起こしたい、と思ったら、ジェンダー平等に取り組む団体の活動を支援するという方法もあります。
ジェンダー平等が実現された社会は、誰もが自分らしく生きることができる社会の実現にもつながっていきます。一人の一歩が社会を変える大きな力になります。ともに声をあげ、行動を起こしてみませんか?
運営団体
国際NGOプラン・インターナショナルについて
プラン・インターナショナルは、女の子が本来持つ力を引き出すことで地域社会に前向きな変化をもたらし、世界が直面している課題の解決に取り組む国際NGOです。世界75カ国以上で活動。世界規模のネットワークと長年の経験に基づく豊富な知見で、弱い立場に置かれがちな女の子が尊重され、自分の人生を主体的に選択することができる世界の実現に取り組んでいます。
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