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「女の子にオンライン上の自由を」~世界ガールズ・レポート2020~
アドボカシー
女の子だから
(更新)
プラン・インターナショナルは10月11日の国際ガールズ・デーに合わせて、世界の女の子の現状を報告した世界ガールズ・レポートを発行しました。2020年のタイトルは「女の子にオンライン上の自由を」です。オンライン上での、誹謗中傷や嫌がらせなどのオンライン・ハラスメント※について、若年女性(15歳から25歳まで)に焦点をあて、その影響について明らかにしました。
- ※オンライン・ハラスメント:ソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)に代表される、インターネット/モバイルテクノロジーを利用して実行され、ストーキング(つきまとい)、いじめ、ハラスメント、名誉毀損、ヘイトスピーチ、搾取、虐待、またすべての迷惑行為を意味します
オンライン・ハラスメントの現状
オンライン・ハラスメントは、世界各国で起きています。性別に関わらず起きている問題ですが、オンライン上の執拗な付きまといやセクシュアル・ハラスメントは、特に若年女性がより多く被害を受けていることが過去の調査でわかっています※。今回の調査では、若年女性であること、そこに人種、障がいの有無、セクシュアル・マイノリティといった複合的な属性やアイデンティティが加わることで、オンライン・ハラスメントの被害が助長されることが分かりました。オンライン・ハラスメントは、ジェンダーに基づく暴力として捉えなくてはなりません。
おもな調査結果
- 調査対象の若年女性の58%がオンライン・ハラスメントを経験している
- ハラスメントを受けた若年女性の24%が身体的不安を持ち、42%は自尊心または自信を失い、42%は精神的または感情的にストレスを感じ、18%は学校で問題を抱えている
- 女の子の50%は、ストリート・ハラスメント(痴漢など公共の場におけるハラスメント)よりもオンライン・ハラスメントをより受けていると答えている
- 少数民族の出身であると回答した女の子の37%は、少数民族であることが理由でハラスメントを受けている
- LGBTIQ+であると回答した女の子の42%は、LGBTIQ+であることが理由でハラスメントを受けている
- もっともハラスメントが発生するSNSはFacebook(39%)で、それに続いてInstagram(23%)である
- 初めてオンライン・ハラスメントを受けた年齢はもっとも早くて8歳から始まり、大多数の女の子が14〜16歳の間で被害を受ける
- 「とても頻繁にハラスメントを受けている」回答した若年女性は19%、SNSの活用を減らし、そのうち12%がSNSをやめた
日本でも調査を実施
日本では約500人の若年女性を対象にした調査を実施しました。SNSを利用していると回答した若年女性は93%にのぼりますが、「オンライン・ハラスメントの被害に遭ったことがある」と答えたのは25%に留まりました。「オンライン・ハラスメントという言葉を聞いたことが一度もない」と回答した若年女性が40%にのぼり、認識の低さが、被害の理解や報告の件数にも影響を与えているものと考えられます。
しかし、51%は自分の周りの若年女性がとても頻繁にあるいは頻繁にオンライン・ハラスメントを受けていると回答しており、日本にもオンライン・ハラスメントが確実に起きていることが分かりました。さらに、SNSで積極的に発信したり、自分自身の意見を自由に投稿したりする若年女性がハラスメントの標的になっていることも明らかになっています。
オンライン空間を自由な場所にするための提言
まずは、レポートで明らかになった実情を把握し、問題に向き合い、解決策を検討することが必要です。そのために必要なアクションとして、以下を提言します。
SNSを運営する会社
- ジェンダーに基づく暴力としてのオンライン・ハラスメントを対象とした報告メカニズムを作る
- 加害者のアカウントを制御する
- 人種、民族、年齢、障がいの有無、LGBTIQ+などの交差するアイデンティティを念頭に置き、すべての女の子のニーズに対応するジェンダーに基づく暴力としてのオンライン・ハラスメントに関する細分化されたデータを収集し公開する
政府
- 包括的なインターネットアクセスに関する方針を決め、オンライン上でのジェンダー平等を積極的に推進する。この取り組みには、電話会社等の通信キャリアによるモバイルインターネットアクセスの改善が含まれる。
- 人種、民族、年齢、障がいの有無、LGBTIQ+などの交差するアイデンティティを念頭に置き、すべての若年女性に対するオンライン・ハラスメントと暴力に対処できるように法的枠組みを更新または改善する。
- SNSを運営する企業やその他のインターネット企業を規制するために、女性と女の子に対する暴力に対処する法律を制定する。
- すべての若年女性に対するオンライン・ハラスメントと、オンライン上の暴力に対処する法律と方針を、警察、司法機関、検察など、関連するすべての政府機関が効果的に実施できるようにする。
オンラインであっても女の子の自由が守られるべきです
コミュニティと家族
- オンライン・ハラスメントについて安心して話すことができて、若年女性自身にサポートされていることを知ってもらうために、若年女性を巻き込み、意見を聞いていくための措置を講じる。
市民社会
- オンライン・ハラスメントに焦点を当て、オンライン上でのリスクとともに機会に関するデジタル・シティズンシップ教育※のプログラムを開発し、啓発活動を実施する必要がある。
- ※シティズンシップ教育とは:イギリスではじまった市民として必要な要素を備え、市民としての役割を果たせるようになることを目指す教育のこと。教育内容としては、社会的・道徳的責任、コミュニティへの関与、政治的リテラシー、アイデンティティと多様性など、多岐にわたる
社会のすべての人々
- オンライン・ハラスメントの問題について知り、オンライン上のハラスメントを報告し、被害を受けた女性たちの声を広げるサポートをする。
女の子の声
- 「SNSを運営する企業は課題解決そのものにお金を投資していませんが、積極的にコメントを監視するための人員配置ができるように、もっと運営にお金をかけるべきだと思います」(17歳、カナダ)
- 「誰が行動を起こすべきか?それはすべての人たちです。私たち自身から始め、次にSNSを利用する人々、そしてSNS運営企業自体も行動を起こしてほしい」(19歳、インドネシア)
若年女性へのオンライン・ハラスメントについてさらに内容を深めるため、プランのユースグループが有識者へのインタビューやユースに向けたグループディスカッションによる調査も進めています。Girl’s Leadershipアクションとして、調査をもとに作成した提言書を関係機関へ提出する予定です。後日こちらの活動もご報告します。
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