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ベネズエラ避難民支援に日本から職員を派遣~ペルー~
ペルー
(更新)
政治的混乱が続く南米ベネズエラでは、学校や病院の閉鎖や極度のインフレによる物価急騰、物資不足により国民の生活が困窮しています。プラン・インターナショナルはジャパン・プラットフォームの資金を受けて、エクアドルとの国境近くの町ピウラと、世界遺産マチュピチュで知られるアンデスの高地クスコの2市で、「ベネズエラ避難民およびホストコミュニティ住民の保護プロジェクト~Amistad sin frontera(友情に国境なし)~」を2019年9月から2020年2月まで実施しています。プロジェクトの実施にあたっては、日本からも職員を派遣し、現地でプロジェクト管理を行っています。
避難民を受け入れるペルー社会
ベネズエラからはすでに470万人※1以上もの人々が医療や教育など基本的なサービスを求めて、周辺国へ流出しました。ペルーはコロンビアに次いで多くのベネズエラ避難民を受け入れており、その数は85万人※2以上です。しかし、資産を使い果たし、バスや徒歩でようやく到着した先での生活は決して楽なものではありません。
避難民が多く暮らすアパートにマットレスを搬入
また、避難する人の数は増加しているにもかかわらず、地元行政の対応は追いついていません。子どもが学校に入れない、医療サービスを受けられない、職に就けないなど厳しい生活を強いられています。
そこで、プロジェクトでは、以下の活動を実施しています。
- 困窮している世帯(500世帯)への衣料や調理用具、寝具など生活用品の支給
- 女の子と女性(1000人)へ衛生・防犯用品の支給
- 保健医療や教育サービスへのアクセスなどの説明会の開催(対象1200人)、性暴力の予防と被害者への対応
- 子どもが安全に遊べる「子どもひろば」※3の実施(6カ所)、避難民とペルー人の交流イベントの開催
- ※3「子どもひろば」
災害・緊急時に、子どもの保護と心のケアのために設置・運営されます。現地では、混乱のなか、子ども、とりわけ女の子は虐待や搾取の対象となる危険性が高まります。子どもたちが一日もはやく日常を取り戻せるよう、遊びや学習を取り入れることで、子どもたちが抱えるストレスを軽減させ、自尊心を育み、自分を守ることができるようになることも視野に入れて活動します。また、保護者も含めた子どもの保護への理解を深める場としても重要です(詳しくはこちら)
生活物資の支給
住環境が劣悪な世帯を対象として、調理器具や食器、マットレスなどの生活用品を世帯の規模に合わせて行っています。
「清潔なマットレスで眠れるのは国を出て以来」と喜ぶ一家
新しい調理用器具を受け取り喜ぶ避難民の女性
女性向け衛生・防犯用品の支給
女性を対象に、下着や生理用品などの衛生用品、防犯グッズを含めた支援パックを支給しています。配布に合わせて、衛生と防犯をテーマに簡単な講座を開いたほか、地元で女性を支援する団体の協力を得て、暴力や搾取の被害に遭わないための知識や相談窓口について案内をしました。
衛生、防犯用品を受け取った女性たち
講座は横のつながりを広げる参加型で実施
「子どもひろば」の開設
避難民の子ども、特に学校に通えていない子どもたちの多くは、親が仕事から帰るまでの間、薄暗い家の中でテレビや携帯を見て過ごしています。そんな子どもたちのために、プランは地域の小学校の一部を借りて「子どもひろば」を開設しました。おもちゃや文具を揃えて、平日の午後に運営しています。慣れないペルーでの生活でふさぎがちになった子どもたちが、笑顔を取り戻して楽しく安全に過ごせる場所です。今後は、子どもたちが企画に参加し、地元ペルー人との交流会の開催も予定しています。
ピウラ市の小学校に開設した「子どもひろば」
クスコ市の小学校に開設した「子どもひろば」

2019年12月初旬から生活物資の配布を始めました。これまで私が経験してきた緊急支援の物資支給の多くは難民キャンプ、避難所やその周辺で行い、今回のように都市部に暮らす避難民宅に直接物資を届けるのは初めてです。情報収集やニーズ分析に想像以上に時間がかかりました。また、配布も、約束の日時に訪問しても留守だったり、すでに引っ越ししていたり、スムーズにいかないことが多くありました。しかしプロジェクトチームは皆、忍耐強く、細やかな対応をしています。
まちには、車の窓ガラスを拭いて小銭を稼ぐベネズエラ人の若者をたくさん見かけます。このプロジェクトが彼らに有益な情報や安らぐ時間を提供し、少しでも定住の助けとなることを願っています。