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ルッキズムに関する意識調査報告書~プラン・ユースグループが発表~
アドボカシー
ユースの活動レポート
(更新)
プラン・インターナショナルとともに活動するプラン・ユースグループ※は、2022年11月~12月にユースを対象としたルッキズム(外見至上主義)に関する調査を行い、分析結果と提言を報告書にまとめました。
- ※プラン・ユースグループ
ジェンダー課題や社会問題に目をむけ、現状を変えるための調査や提言活動、プランの意思決定プロセスへの参画などに取り組んでいます。高校生から社会人のメンバーが所属し、年間を通して活動を続けています。
「美しい」外見を求められることへの違和感を出発点に
調査に先立ち、プラン・ユースグループではメンバー同士でユース(国連による定義では15~24歳の若者)が日常的に感じている、「世間から求められている外見への違和感や圧迫感」について議論しました。そして、脱毛や美容整形を勧める電車広告や、体型を揶揄する世間の言動により、ステレオタイプ化された「美しさ」が若者たちに刷り込まれていることが問題であると指摘しました。メンバーたちは、「女性の方が男性よりも容姿に気を遣わなければならない」というジェンダー・ステレオタイプが存在しているのではないかと仮定。ユースを対象に、インターネット・SNSを通じたアンケート調査(全国のユース196名)と、ワークショップによるヒアリング調査(大学生30名)を行いました。
調査から見えてきたこと
アンケート調査:
8割以上の回答者が容姿・外見に対する悩みを持っている
容姿について悩んだことがあると回答した女性は92.8%で、男性の74.2%より18ポイント以上高い結果となりました。理想的な体型について「痩せ型・やや痩せ型」と回答した女性は83.7%、男性は67.7%でした。また、「理想の体型はない」と回答した男性は22.6%で、女性(6.5%)を大きく引き離しています。女性のほうが容姿や外見に悩んでいる傾向があり、女性は痩せた体型になりたいと感じている割合が男性に比べて多いことが分かります。
容姿に関心を持ったきっかけは、性別によって異なる
自分の容姿に関心を持ったきっかけとして多かったのは、友人との会話(52.0%)、SNS(51.5%)、テレビ(40.3%)という回答でした。性別で見ると、女性はSNSからの影響が強く、インフルエンサーなどを含む他者から影響を大きく受けている傾向が見られます。一方、男性は友人との会話を選択した人が多く、より身近で日常的なところから影響を受けていることが示唆されます。
ワークショップによるヒアリング調査:
大学生30名を対象としたワークショップでは「男性と女性ではどちらがより容姿に気を遣うべきだと感じているか?それはなぜか」など、容姿に関するテーマで議論を行いました。ファッションやメイクに性差がなくなってきている社会の風潮から、「女性・男性のどちらがより気を遣うべきかとは言えない」という意見が出た一方、「女性の方が容姿に気を遣うべき」と感じる理由として、「周りからの見えない圧力や風潮」のほか、「女性は社会的な判断の基準が外見にあるのではないか」といった声が上がりました。
ワークショップの様子
ユースによる提言
調査結果に基づき、プラン・ユースグループはコンプレックス広告などによる過度な「美しさ」の押しつけが、容姿・外見を気にする傾向を助長していると指摘。メディア・企業に対して、「コンプレックス広告を出稿させないこと」、教育機関に対して、「ジェンダー平等教育の充実を図ること」を提言しました。
調査結果は、今後SNSなどを通じ、ユース世代にむけても発信していきます。
プラン・インターナショナルの日本事務局創立40周年に寄せて、今回の調査結果を用いたワークショップイベントを2023年9月10日(日)に予定しています。詳細は、創立40周年記念サイト「イベント情報」にて告知いたしますので、ぜひご参加ください。
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メンバーの声
高橋さん(大学生、調査分析を担当)
人によって「かわいい」「かっこいい」「美しい」の定義は違うはずなのに、求められる理想像があることは問題だと感じていました。私自身、接客業のアルバイトや就職活動をするなかで、若い女性たるもの綺麗でなくてはならないという社会的風潮をひしひしと感じてきました。国際セクシュアリティ教育ガイダンス(包括的性教育)では「身体的外見において、何を魅力的だと感じるかは人によって大きな違いがある」「自分のからだについての感じ方は、その人の健康、セルフイメージ、行動に影響を与える」ことが教えられるべきとされていますが、ルッキズム(外見至上主義)について教育課程で考える機会はまだまだないように感じています。この報告書を通して、より多くのユースに「ステレオタイプにとらわれる必要はない」というメッセージが伝われば良いなと感じます。
千木良さん(社会人、報告書の編集を担当)
この調査のスタート地点は「ユースの心に寄り添いたい」という気持ちでした。世の中にはさまざまな分野におけるジェンダー課題が存在しますが、より多くのユースにとって身近なジェンダー・ステレオタイプを感じる社会問題は何だろうかと考えました。プラン・ユースグループのメンバーの多くが、一度は「女性らしい体格や容姿にならなければ」という意識を自らにむけた経験があります。今回の調査を通じ、女性は男性と比較して自らの容姿に気を遣わなければならないとより感じていること、女性と男性では容姿に対しての意識が異なることも分かりました。悩んでいるのはあなただけではありません。少しでも多くのユースが報告書を手に取り、「悩んでいるのは私だけじゃない」と思っていただけたら嬉しいです。