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子どもと若者の「生きる力」を育む 南スーダン難民支援~ウガンダ~

プログラム部
道山 恵美

アフリカ・中東

更新)

プログラム部の道山です。
南スーダンで2013年12月に発生した紛争により、多くの人々が難民となって近隣諸国へ逃れました。これを受けて、プラン・インターナショナルは2014年1月から隣国のウガンダで南スーダン難民支援を開始。私も活動開始当初から現地へ何度も出張し、日本から派遣した駐在員や現地スタッフと一緒に活動に参加しました。これまでの変化と、プランの取り組みをご紹介します。

南スーダンとの国境近くにフィールド事務所を立ち上げ

南スーダン難民の65%以上が、18歳未満の子どもたちです。避難する道中や避難先にて、暴力や虐待、家族との離別や死別といったつらい経験をした子どもたちも多く、水や食料、トイレなどの衛生設備の設置に加え、子どもたちの心のケアがとても大切でした。プランは2014年に、ウガンダ北部に難民支援の拠点となる事務所を開設しました。

写真:事務所立ち上げ初期のメンバーと(2014年)

事務所立ち上げ初期のメンバーと(2014年)

難民支援は「国境を越えて逃れてきた人を保護する」という性質上、首都から離れた国境近くの遠隔地での活動となりがちです。当時、事務所の周辺には宿泊施設はほとんどなく、現地スタッフの多くは、事務所に寝袋を持ち込んで寝泊まりしていました。食事をする場所も少なく、日本から持参したカレーのルーやパスタのソースは、短時間でおいしく調理できるのでとても重宝しました。私が作った料理をスタッフ皆が喜んでくれたことは、当時のよい思い出です。

「緊急下で女の子が必要な支援とは何か」を常に考える

プランが活動当初から実施してきたのは、「子どもひろば」の設置を通じた子どもの支援に加え、女の子や女性のための支援です。コロナ禍の日本では「生理の貧困」の問題がクローズアップされましたが、経済力を持ち合わせず、家族にも相談しにくい難民の女の子たちは、以前からこの問題に直面していました。「親にだったらナプキンが欲しいといえるかもしれないけど、今は里親と暮らしているから誰にも相談できない」と打ち明けてくれた女の子もいました。プランは女の子と女性へ生理用品キットを配布するなど、「緊急下では女の子はどのような困難を抱えるのか」を常に考えて活動をしてきました。

設置直後の子どもひろばで遊ぶ子どもたち

設置直後の子どもひろばで遊ぶ子どもたち

生理用布ナプキン配布の様子

生理用布ナプキン配布の様子

南スーダン情勢の悪化で難民が急増 活動規模を徐々に拡大

その後、南スーダンの国内での戦闘行為はさらに激化し、2016年~2017年にかけて、ウガンダに逃れてきた難民は100万人近くに急増。2017年に私が再度ウガンダを訪れたときには、わずか4人のスタッフが、広い難民居住区内で、2つの子どもひろば運営に孤軍奮闘していました。増え続ける難民の数に対して、私たちの支援は不十分ではないか、と感じたことも何度かありました。

写真:ともに活動に汗を流した現地の仲間たち(2018年)

ともに活動に汗を流した現地の仲間たち(2018年)

2018年に、日本の皆さまやジャパン・プラットフォームの支援のもと、プランは支援体制を強化すべく、難民居住区内にも事務所を開設し、スタッフ用宿舎を設置。スタッフも増え、多い時では30人以上が活動に従事しました。

スタッフ発案のグループ活動が、若者たちの希望に

支援を必要とする人々に近い場所で活動できるようになり、スタッフたちは、より丁寧できめ細やかな支援を行えるようになりました。一人ひとりに応じた個別支援を担当するケースワーカーたちは、「10代で母親になった女の子たちは学校に行っていないし、社会から孤立傾向にある。子どもとはいえ母親になってしまうと子どもひろばには行きにくくなるから、若くして母親になった女の子たちが社会とつながれる活動をしよう」など、より効果的な活動を行うための提案を多く持ってきてくれました。
また、「学校にも行けず、仕事も耕す畑もなく、ただ時間が過ぎるだけの暮らしをしている難民の若者たちには『何かやること』や『生きがい』が必要だ」と言って、若者たちのグループ活動を始めることを提案してきたのも、ソーシャルワーカーの女性スタッフでした。

こうしたスタッフのアイデアを取り入れ、若者クラブ向けの収入向上研修を2021年に実施。廃タイヤを使ったサンダル作りや、パン・お菓子作りなど、難民居住区で需要が見込まれつつも、まだ誰も取り組んでいない活動を行いました。サンダルづくりの研修実施中から、「できあがったらぜひ購入したい」といくつも予約が入るほど注目されました。

写真:廃タイヤからサンダルを作る方法を学ぶ若者たち

廃タイヤからサンダルを作る方法を学ぶ若者たち

これは、研修に参加した若者が初めて焼いたケーキの写真です。この写真を見たときは、私や駐在員も含め、プロジェクトに関わった日本事務局の全員が、事業立ち上げ時の大変さを思い出して涙が出そうになりました。

写真:ケーキには「ありがとうプラン」のデコレーション

ケーキには「ありがとうプラン」のデコレーション

参加者のストーリー
ベアトリスさん(仮名)

写真:ベアトリスさん

ベアトリスさん

若者クラブに参加していた23歳のベアトリスさんは、南スーダンの紛争から逃れるため、19歳の時にウガンダにやってきました。早すぎる出産で、15歳で母親になっていた彼女。プランに出会う前は、配布された食料の一部を売って、子どもの学費、砂糖や服などの費用を捻出していました。
「もう学校に戻るのは無理だと思う。でも何かを学びたい」と思っていたところ、プランの若者クラブの活動に出会い、パンやお菓子作りの方法に加えて、売り上げ記録の付け方などを仲間とともに学びました。パンやお菓子を販売するようになって、ベアトリスさんの暮らしは改善。学校に通えず、職業訓練も受けられなかった彼女にとって、プランに出会って身につけた技術は「一生もの」だと教えてくれました。

支援が子どもや若者の「生きる力」につながった

事務所の立ち上げからスタートし、最初は不安だったウガンダでの南スーダン難民支援の活動。しかし、やる気にあふれた現地スタッフ、プロジェクトに参加してくれた現地関係者や難民の人たち皆と力を合わせ、難民の子どもや若者たちに「生きがい」をもたらすプロジェクトを実施することができました。特に、女の子や若者が直面する問題を的確に捉え、支援につなげようとするスタッフたちの成長が、プロジェクトを成功に導いてくれたと思います。

活動初期から取り組んだ「子どもひろば」は、対象を徐々に「子どものみ」から「若者」へと広げ、今では地域の人々が集う「コミュニティセンター」へと役割を変えました。さらに、女の子や女性のニーズに応える支援も、生理用品キットの「配布」から、ワークショップを通じた「手作り布ナプキンの普及」という持続可能な方法へと切り替えました。

長期にわたる活動の成果を実感するとともに、これまでウガンダでの活動を支えてくださった、ご支援者の皆さまにあらためて感謝申し上げます。

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