ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
サイトのご利用案内(i)へ

【経過報告】難民の女性の生きる糧に「識字教育」のパワー~ロヒンギャの子どもの保護と教育プロジェクト~

グローバル・プロジェクト

バングラデシュ

ミャンマー

更新)

写真:難民キャンプの風景

難民キャンプの風景

バングラデシュ南部コックスバザール県内にある難民キャンプには、ミャンマーでの差別や迫害から逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャの人々約92万人が暮らしています。そのうち20万人弱が、15歳から24歳の若者たちであるといわれています。国籍をもたず、さまざまな制限のもとミャンマーで暮らしていた若者たちの多くは、人生で一度も学校に通ったことがなく、読み書きができないために避難先でも困難に直面しています。
プラン・インターナショナルは「識字教育」を通じ、若者たちへの支援を続けてきました。教育の力で逆境に立ち向かう、2人の女性たちのストーリーをご紹介します。

ロヒンギャ難民の若者たちの教育を支援

2021年12月にプラン・インターナショナルが行った小規模調査では、ロヒンギャの若者の約96%が非識字者であることが明らかになりました。数々の困難を乗り越え、ようやくたどり着いた難民キャンプにおいても、掲示板や支援物資の情報、薬のラベルに書かれた内容が分からないなど、新たな困難に直面することもしばしばです。

プランは、ロヒンギャ難民の若者向けに識字教育を行う数少ない団体のひとつとして、2019年からバングラデシュ国内で「ロヒンギャの子どもの保護と教育」プロジェクトを行ってきました。約3年間の活動によって、難民キャンプ内に暮らす若者、特に女性たちの学習環境に改善が見られ始めています。

2人の女性たちのストーリー

「若者のリーダーになり、女性の教育を促進したいです」
(ディルダラさん)

現在21歳のディルダラさんは、17歳のときに家族と一緒に難民キャンプに逃れてきました。ミャンマーに住んでいたときは一度も学校に通う機会がありませんでしたが、難民キャンプでプランの識字教育プログラムに参加し、読み書きや計算だけでなく、女性の権利や健康など、さまざまな問題について学びました。今では自信をもって自分の意見を言えるようになり、コミュニティ内で目にした不正に対して抗議することもあります。

教育の大切さを実感したディルダラさんは、次のように話します。「私も家族も、バングラデシュに来て初めて、教育の重要性、特に女の子が学ぶことの大切さを知りました。十分な教育を受けていないために、周囲には『女の子は勉強せず早く結婚するべき』といった、理不尽な社会的偏見がまん延しています。このことが、難民キャンプ内のロヒンギャのコミュニティで広く行われている早すぎる結婚(児童婚)の原因になっているのです。私も何度となく結婚させられそうになりましたが、断固として拒否しています」。

写真:啓発セッションをするディルダラさん(中央)

啓発セッションをするディルダラさん(中央)

彼女は今では学習センターで啓発セッションを開き、若者やコミュニティの人々の意識を変える活動にも取り組んでいます。「若者リーダーのひとりとして女性の教育を促進し、コミュニティから早すぎる結婚(児童婚)をなくしたいです。また、女の子や若い女性が性と生殖に関する健康と権利について正しく理解し、衛生管理も行えるようにサポートしたいと考えています。そのためにはもっと多くのことを私自身が学ぶ必要があると感じています」と話します。

「学習指導員として働き、収入を得られるようになりました」
(ヌールさん)

写真:アルファベットのカードを見せるヌールさん

アルファベットのカードを見せるヌールさん

33歳のヌールさんは、現在、夫と2人の息子、義理の家族とともに難民キャンプに暮らしています。ミャンマーでは学校に通ったことがあり、難民キャンプ内の彼女が居住する地区の女性たちのなかでは、唯一読み書きができました。そのため、避難してすぐに、3歳から5歳の就学前の子どもたちを教える仕事に就くことになりました。その後、プランの若者向け識字教育プログラムの学習指導員となったヌールさん。教材の活用法や授業計画づくり、教授法などを学ぶ能力開発研修を受け、若者たちに読み書きや計算を教えるようになりました。さらに、研修や授業を通して学んだ経験やスキルを活かし、若者だけでなくコミュニティの人々にも、早すぎる結婚(児童婚)や人身取引、保健衛生管理、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に関する意識啓発セッションを行っています。

ヌールさんは次のように話します。「自分が仕事をして、お金を稼げるようになるとは思っていませんでした。ミャンマーでは、女性は自分のきょうだいや子どもにしか勉強を教えません。生まれ故郷のミャンマーを恋しく思わない日はありませんが、このプロジェクトで学習指導員の職を得たことで、生活に必要な出費をまかなうことができるようになり感謝しています。最初は、女性たちに数の数え方や足し算、引き算の計算を教えるのがとても難しかったです。なかには授業に興味が持てず、ついてこられない人たちもいました。教材も足りず、葉っぱや竹の棒、コーヒーの空きパック、石けんなど、身近なものを使うこともありました。プランから支給されたフラッシュカードなどの新しい教材は、受講生の積極性や学びの意欲を引き出してくれます」。

希望を胸に懸命に生きる若者の力に

ディルダラさんやヌールさんのように、ミャンマーでは学校に通えず、仕事に就くこともできなかったロヒンギャの女性たちが、難民キャンプで新しい知識やスキルを身につけ、自立にむけた一歩を踏み出しています。難民キャンプ内では、女性の教育の重要性や、彼女たちがコミュニティ内で活躍することに対する理解も高まりつつあります。また、新しい挑戦を望む女の子や若い女性たちが、自分たちの経験や知識、才能を活かすことのできる場も少しずつ増えてきています。故郷に帰りたいという希望をもち続けながらも、自分やコミュニティの可能性を信じ、懸命に生きる若者たちを、プランは今後も支援していきます。

  • ※バングラデシュ国内の活動は、ジャパン・プラットフォームの支援のもと実施しています。

あなたの寄付で、誰かの人生に可能性が生まれる。

寄付をする

  • 説明会 「プラン・ラウンジ」
  • イベント・キャンペーン カレンダー
  • プラン・ブログ
  • 寄付金控除について
  • マイ・プラン・ページ
  • 国連グローバル・コンパクト

メールマガジン

プランの活動や最新情報を
お送りしています。

ご登録はこちら

公式SNS

世界の子どもたちの今を発信中

  • lineアイコン
  • Instagramアイコン
  • YouTubeアイコン